2015年4月30日木曜日

創意工夫

ファットバイクのホイール組みは、Surlyのパグスレイやムーンランダー等一部オフセット組みという特殊な組み方をしますが、今回はアイスクリームトラック用のホイールなので、ノンオフセット組みです!ノンオフセット組みとはハブの左右のエンドの真ん中にリムのセンターを合わせるという一般的な組み方です。ファットバイクのホイール用語と言って良いでしょう。それに対してオフセット組みとは、ハブのリアエンドのセンターとリムのセンターが一致しない組み方で、Surlyの考案した独特な組み方です。この組み方によって前後のホイールの互換性が実現します。もちろんフレームとフォークもオフセットされてる場合に限ります。通常の自転車にホイール前後の互換性を持たせるのはエンド幅が違う時点で不可能です。

SurlyのClown Shoeはナント幅が100mmあり太さでは現行品No. 1です!

リムの軽量化の為に 大きな穴が空いているのでこんな撮り方もできます!

組み合わせるハブはSalsaです!値段の割にクオリティーが高いです。リアはなんと!エンド幅197mm!12mmのスルーシャフトです。
フロントはエンド幅150mm!15mmスルーシャフトです!

スポークレングスを算出し、今回はWheelSmithのチャンピオンスポーク#14を丁寧にカットします。

サムズバイクではKOWAのスポークカッターを使ってます。理想のカッターはPhilですが値段が高過ぎるので買えません。Philだとワンアクションでスポークのカットとネジ切りができて最高なんですが。
KOWAのはまず上の穴に入れて必要な長さがにカットして、横の穴でネジ切りします!

ここまでの準備が整えば、ここからは組み上げるだけなので完成したようなものです。

私は約30年 毎日のようにリム組みをしてきましたので、極端な話リムの組み上げ作業そのものはもう慣れてしまって簡単な作業と言っても過言ではありません!もちろん神経を使い集中しないと組めませんが、生き物を扱うようでとても楽しいです!

リム組みで大変な作業は準備です!リムとハブを1/10mmの精度で必要箇所を測定し値を数式に入れて計算します。今回は3種類の長さのスポークが必要です。ほとんどの外装変速機付きの自転車は3〜4種類の長さのスポークを一台の自転車に使用します。
スポークレングスを算出して、必要な長さ、色、太さ、本数のスポークを製作し、必要な材質と太さと色のニップルを準備してスタンバイです。

グチになりますが....
良く通販などでリムとハブを購入し、リム組みは自分でやるのでスポークだけを買いに来るお客さんがいます。「長さは?」と聞くと「わかりません。合うやつください!」

長さの算出は30年やってきても、慣れる作業ではなく毎回時間をかける下準備です。もっというとリム組み工賃を仮に¥5.000とすると内訳はスポークレングス算出と製作¥4.000、組み上げ作業¥1.000といった感じです。

なので、合うやつくださいといわれても、簡単な事ではなくもちろん無料ではできない事をご理解ください。

スポーク長を指定いただければ、スポークのバラ売りはしております。
WEB上にスポーク計算式があるので、ご自分で計測した値を入れて算出してください。

話しが逸れてしまいましたが
まずはフロントの仮組み完了!
フランジにスポークを通し
これが通し終わった状態
リアハブも仮組み完了。
算出したスポークレングスが正しいかどうかはこの段階でわかります。

短か過ぎたり長さ過ぎる場合は、はい!最初からやり直しとなります。(笑)
我々でもたまにやり直しはありますが、もちろん工賃とかスポーク/ニップル代を上乗せ請求はしません。一度組んだスポークやニップルは廃棄処分です。赤字になる事もしばしばです^^;

さてここからは楽しい本組みになります。横振れ、縦振れをとりながらセンターを出しつつ、乗る方の使用目的と体重にあったトルクまで締め上げる作業です。

お恥ずかしい話ですが、サムズバイクは創業時から使っている振れ取り台があります!いわゆる27インチの700cまでしか対応してない振れ取り台です。
29インチが普及してきたので、アダプターは購入しました。
上の二つでレッグを伸ばして29インチに対応できます。
下の二つを装着すると最大240mmまでレッグが開くのでSalsaのリアハブ197mmをセットできますが、フランジとレッグが干渉してしまい回らないなど不都合が出ます。なので片方は上のアダプターにしたり、スルーシャフトアダプターもないので代用品を作ったり、敢えて斜めにセットしたりワッシャーをかましたり....
ファットバイクリムは60〜100mmくらいの幅が主流ですが、今回は最大幅のハブと最大幅のリムの組み合わせという事で てんやわんやでしたが、ない頭をひねり倒してあるものだけで組み上げました!このいろいろ創意工夫するのがまた楽しいですね。
どんなに工夫しても不可能になるまではFATBIKE対応の振れ取り台は買わないつもりです!

もし誰かからFATBIKE用の振れ取り台をプレゼントして頂いた場合は、喜んで使用させていただきます!(^O^)/














2015年4月26日日曜日

春の日曜日

 札幌円山公園の桜が観測史上2番目に早く咲いたというニュースを見ました。ある意味異常気象でしょうけど嬉しいです!

サムズバイク前に駐輪しているバイクパッキングな2台!1台はスタッフのtkdのVayaで、左はお客さんのFargoです!

tkdのVayaは彼が能登半島でのSalsaシークレットツアー参加直前に組み上げたマシンです!レベレイトデザインの初期からのヘヴィーユーザーで、Salsaのバイクに取り憑かれVayaの他にEl Mariachi SS、Ala Carte、Chili Con Crossoなどを愛用してます。北海道の主要道は全て走り尽くしたという根っからの旅好きの彼はアドベンチャーツーリングの理解も経験も深いので何でも相談に乗ってくれると思います。

左側のFargoはサムズの古くからのお客様Iさん夫妻のマシンです。サドル下の小さなバッグは自作です。

こちらは旦那さんのロングテール。カラテモンキーにジョイントしてます!フレームバッグは自作です!

画像の右奥のフロントファットのタンデムは現在製作途中です!完成したらこのblogで紹介させてもらいます!







2015年4月24日金曜日

王様

ひねってません。m(_ _)m
そのまま王様=KINGです!
創始者はChris King さんです!名前のとおりヘッドセットの王様だというのは誰も異論を唱える方はいないでしょう。
確か70年代からずーっとヘッドセット一筋の会社ですが、現在ではハブやBBもラインナップされてるのは皆さんもご存知のとおりです。工作精度が高いので回転部分に特化してる会社です。

今回はキングヘッドセットの紹介です。

左からWTB1インチスレッド、1インチスレッドレス、11/8インチチタンスレッドレス、11/8インチスレッドレスです。

こちらは先日紹介したMANTIS バルキリーに装着されてたヘッドセットと全く同じものです。

キングとの違いは、左上のようにエビ茶色のOリングを外すと穴が開いていてそこからグリースガンなどを使ってグリースアップができるというグリース ガード システムが搭載されている点です!
ただでさえ丈夫なキングヘッドセット!マメにグリースアップしていれば100%一生使えます!
シルバーもありました!良く見るとナットにKINGと刻まれてます!

こちらはキングの最高峰 チタン11/8インチスレッドレスです。

余談ですが、これは丈夫で10年以上ノーメンテナンスで使ってきました。
アルミより肉厚が薄いです。でも全く壊れる気配はなし!
ずいぶん使ったので、ベアリングを打ち替えてリフレッシュ!キングの凄いところは何と言っても自社でベアリングを作っているコダワリです!

ワンの内部にも全く磨耗は見られません。
チタン製だとキズもつきにくいので、全くの新品になった感じです!

画像下のキャップに書いてあるとおり2008年にピンクリボンコラボで限定発売されたのは11/8インチスレッドレスだけです!画像上のは1インチスレッドレスで10年程前にラスベガスで開催された interbike expo.でのキングのブースで直接買ってきた1インチスレッドレスです!これはFAT CHANCE のYo Eddyのレストア用に用意しました(非売品)。もちろんYo Eddyの純正フォークもアヘッド仕様に改造してあります(powered by EZOサイクル)。

こちらは現行品の11/8インチスレッドレスですがパープルは限定生産品です。KINGが長きに渡りヘッドセットの王様に君臨している理由の一つに多彩なアルマイトカラーをラインナップしている事も大きな要因です(現在は9色)。またどのメーカーよりも発色がよく、見た目でクオリティの高さを納得できるオーラを放ってます。

こちらは同じカラーですが一時期中国製の偽物が出回り、その対策の為に文字の目立たないバージョン(レーザーエッチング)しか手に入らない時期もありました。現在は両方手に入ります。

こちらは変わりダネで、スチール製です。ヘッドチューブに圧入される部分がレギュラー品の2倍以上あり、ジャンプバイクやBMXのストリートに最適です!チタンよりも表面がザラザラしてていて、ジャンキーな感じがカッコイイです!現在は製造してないようです。



また数年前から上の玉押しが画像左側のように2ピース構造に進化しました。

またベースプレートも右端のように厚みのあるものが用意されてます。すこしでもヘッドチューブの高さを稼ぎたい場合に有効です。またフロントサスペンション装着時にトップキャップとダウンチューブが干渉する場合には必携です!

上の画像のように90年代初頭まではワンに派手なKINGの文字はなく、ロックナットの上面に刻印があるだけでした。

スレッドレスになった時には上の玉押しにも刻印が。そして現在の派手な文字に変遷して行きます。個人的にはこの頃の感じが好きです。

本当の意味での専門メーカーって少ないと思いますが、KINGには揺るぎない信頼性があります。

現在は11/8インチスレッドレスが主流ですが、だんだんインテグラルに移行しつつあり、テーパードなど規格も多様化してますが KINGはそれぞれに柔軟に対応しています。

またスレッド式のヘッドセットもラインナップしており、最近では聞かないレギュラーサイズ、フィッシャーサイズなども製造しているのはさすがです!

ちなみに大きさの比較のために、キャップを並べてみました。
左から1インチ(レギュラーサイズ)、11/8インチ(オーバーサイズ)、11/4(フィッシャーサイズ、スーパーオーバーサイズ)

スレッドの1インチには更に、JISとイタリアンという規格があり、何故かKINGは頑なにイタリアンしか製造しなかったのは、私の中での唯一の謎であり不満でもありますが...

今後もKINGは着実に我々自転車を愛する者をサポートし続けてくれると信じております!





















2015年4月22日水曜日

ゴミ

愛用していたパーツが壊れた時は凹みます!消耗部品は交換用純正パーツが手に入りますが、それ以外の部分に致命傷を負ってしまうとゴミになります。しかし高級パーツがゴミと化しても貧乏症の私はなかなか捨てられません。今回は捨てたくても捨てられなかったBroken partsをお見せします!第一回目はハブ編です!

上記左からAC、TNT、RINGLE x3です。
リングルは材質は7000系のアルミで高価で硬いのですが、粘りがないようで
良く割れたり、ヒビが入った残念なモノを良く見かけます!

これはリングルのフロントハブですが
フランジが左右共に欠損してます。スポークに強いストレスがかかった時に割れたようです。

一見壊れてないように見えます。

フリーのギア部分が数カ所割れてしまってます。リングルは他のメーカーに比べこの部分の肉厚が薄いので、こうなるケースを複数個見かけました。この部分はネジ込まれてますが(漕いだら締まる部分なのでボスフリーと同じ原理)工具が存在しないので緩めるのは現実として不可能です。カニ目とか色々駆使して過去に何度もチャレンジしましたが全敗です。

これは一目瞭然!説明不要ですね。
上の3つのケースはリングルのハブの典型的な壊れ方です。リングルのハブの弱点なので、使ってる方はちょくちょくチェックした方がいいと思います。

こちらはまたリングルとは違う方式のフリーですが、真ん中のギア部分の歯がめくれあがってしまってるのと、シャフトのチタン製のカラーが折れてしまってます。もったいない...

こちらはフリー体がチタン製で限定品だったりですごくもったいないですが、フリー部分の爪が破壊されていてパーツも手に入らず ゴミですorz...

とまあ、高級パーツは軽さを追求してるモノが多いので、壊れやすいというリスクもあります。

それに比べシマノパーツは当時丈夫でしたね。アフターパーツも充実していて、もちろん値段も安い。
ハブとしての性能や軽さは中の上です。1993年頃まではサンツアーもありました。シマノより少しだけ値段は高かったのですが、回転性能も強度もシマノより上だったと思います。

高級パーツの多くは、高級な素材の削り出しのモノが多く
1 見た目のかっこよさ
2 軽さ
3 性能
4 ステイタス

などを求める方に人気がありました。

壊れても、壊れても カコイイパーツは正義です!^ ^











2015年4月20日月曜日

O/H

O/Hってオーバーホールってことです。
O/Hって好きです!気持ちいい!

オーバーホールって機械や部品を分解して、清掃したり、注油したり、消耗部品を交換して、限りなく新品の状態に戻す事と私は理解してます!

今回は一つの例を紹介します。

90年代中頃のホワイトインダストリーのハブです。フリーは固着して ハブの回転もしない状態のリアハブです。

もうこのハブはダメだなと当時ゴミ同然に思ってましたが、ナゼか今日はこのハブがお宝に見えたので、O/Hする事にしました。

このハブは 4つのベアリングが使われてます。

これを完全な状態に戻したいなーと。
ベアリングは4つの内2つは完全にダメになっていました。2つはなんとか使えそうでしたが、気持ちよく4つとも新品に交換します。
フリーの爪は生きてましたが、バネが変形してます。
ハブ内部のギザギザもまだ生きてます。爪が生きててもこの部分にヒビが入ってたり、変形、磨耗が見られれば
そのハブは復活させられませんが、このハブは大丈夫でした。




ベアリングを全て抜いて、内部まで洗浄完了。バネは新品がないので手で変形を修正して使えそうな状態にしました。袋に入ってるのは新品のベアリングです。NTNのベアリングは日本製で品質も良いです。



フリーの内部は粘度の低いグリースを使わないと、カラ回りの原因になりますのでご注意を。今回はrespoのアッセンブルオイルを注油して終了!


無事完了。^ ^

あきらめてたパーツが蘇ってとてもうれしいです!