2015年11月10日火曜日

SE

SEとは Self Engenering の略です!
スコットのブレーキです!
こちらはフロントのカンティーブレーキの左側です。
ブレーキをかけると シューが前方に2mmくらいスライドします。
指でブレーキをかけた状態に押します。ブレーキを固定してるネジと本体の隙間が縮まってるのがわかると思います!
裏側から見てみましょう。これはリリースの状態です。
指で押してブレーキをかけた状態にすると隙間が開いてます。

要するにシューがスライドすると言うよりは ブレーキ本体ごと前方=リムの進行方向にスライドする機構です。


分解してみました。とても凝った造りのスペーサーと左下2番目のスパイラル状の溝を切ったパーツが肝です!
本体側のボールベアリングがその溝にはまり、回転するとスライドする構造を実現してます。裏側からスパイラルを差し込みます。

この原理は、先日Paulからリリースされた最新の機械式ディスクブレーキのキャリパーの構造と原理は全く同じです!
これを見た時に とてもシンプルで賢い構造だと感動しましたが、何処かで見た覚えが...

それがスコットのSEシステムだと気付き、古い在庫から発掘して分解して確認したくなりました。

アームを引くと大きめのベアリング3個が溝に沿ってブレーキシューを押し出す構造です。


SEシステムに話を戻します。(^^;;

上の分解画像には真上からしか写ってませんが、コレが横から見たバネです!
近くで見ないと 何かわからないと思います。このバネが ブレーキをかけると圧縮されリリース時に左の丸いプレートを押し戻すという構造です。結構固いバネレートです。コイルスプリングでは充分な力が得られなかったと思われます!素晴らしいバネです。

そしてリア用は、スライド方向が逆になります。それと靴に当たらない様にスリムなシェイプになってます!ロープロファイルなどという言葉もなかった80年代です。
構造は基本的に同じです。
ただしスライド方向が逆なので、スパイラルは表側から差し込みます!
80年代後期、高級車はフロントカンティーブレーキでリアはUブレーキが主流でしたので、Uブレーキもラインナップされていました。
以前に紹介した87年のHAROです。
チェーンステイに下側に台座があるUブレーキ仕様です!
真下から見るとわかりやすいですね。

Uブレーキにもフロント用とリア用が用意されてました。もちろん少数ですがフロントUブレーキ仕様もありました。しかしそれだけではありません。

リアのUブレーキはリア用を選べば良いという訳ではありません。

えーー! 

このHAROのリアブレーキはフロント用をチョイスしなければなりません。要求されるスライド方向がフロントブレーキと同じだからです。
シートステイの下側とチェーンステイの下側にブレーキ台座があるタイプはフロント用、シートステイの上側とチェーンステイの上側に台座がある場合はリア用を選択します。

こちらはサンツアーXC Proのフロントブレーキです!
こちらは同じくリアブレーキです。
横から見ると違いがわかりやすいですね。右はSE機構を内蔵したリアブレーキです!サンツアーはリアブレーキだけSE システムを取り入れました。またUブレーキは造りませんでした。
横に文字が書かれています。

このSEシステムのメリットは、巻き込み効果を伴ってより制動力がアップするというものでしたが、重量が重くなるのと、スパイラル部分が減りやすくガタが出る、その後シマノが考案したSLRシステムに比べてタッチが重い、シューがリムに当たった瞬間を捉えにくい、セッテイングが難しいなどの欠点があり やがて消えて行きました。

見た感じはとても精悍でカッコよく私は大好きです!
30年前のブレーキですが、これから組み上げる90年製のMongoose IBOC-Signatureに組み込もうと思ってます!

近日中にアップする予定です!

SEシステムの様なユニークなパーツがたくさん出て来てた80年代は、この他にもワクワクする様な製品が目白押しでした。今後少しずつ紹介して行きたいと思います!